▼プロローグ
運命に導かれた勇者がこの世界を救って早数百年が経とうとしていた。 人々が平和を当たり前のように感じていたそんなある日。 それまで長く平和の続いてきたこの世界に、大地震がおとずれた。 地面が隆起してしまうほどの地震は大陸や森、街道、人までも飲み込んでしまった。 穏やかだった海は荒れ狂った津波となって、港を島を人々を襲い 震えた山は山崩れとなって村を襲った。 それ以来、大人しかった魔物や動物は凶暴化し、村や町、旅人を襲い始めた。 世界の国々は被害を受けた町や村、港を救済し、魔物には自警団や騎士団を結成して対抗した。 あれだけの地震が起こったにしては被害も予想より大きくは無く 凶暴化した魔物は程なくして鎮圧され、難民はすんなりと町や城に受け入れられた。 人々は日々が流れると共にそれに慣れ、以前ほどではないが再び平穏が訪れた。 大地震と時を同じくして、世界のあちこちで空に大きな穴が 空いているという奇妙な噂が飛び交った。 それもまた、平穏な世界でただの噂として葬り去られていった。 その大地震が大魔王の復活を意味する警鐘だった事は 高名な占い師や国の重役など、一部の人間しか知らない。 世界は人々の知らないところで確実に滅びの道を歩き始めていた。 一人の青年が精霊ルビスの声に導かれ世界を救う旅に出るのは それから1年と半年後の事・・・。
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