● イミルその後A ●
「ハァ・・・」 神殿の中を見回りながら、ユナは本日何度目か分からないくらいのため息をついた。 「どうした?今日はやけにため息の回数が多いようだが・・・」 隣で歩いているテリーが不審に声をかける。 「だってさ・・・イミルがもう・・・色々聞いてきて・・・」 うんざりしているユナを見て、フッと笑う。 「オレとお前の事だろ?話してやればいいじゃないか」 「・・・・・・そんなに簡単に話せねえよオレ・・・」 中庭の噴水の近くに腰を下ろす。 気持ちのいい空気が頬に触れた。 「だってあいつ・・・巫女とは思えない質問とかしてくるんだぜ」 「・・・例えば、どんな?」 ・・・・・・・・・。 その言葉に、止まる。 「ど、どんなって・・・」 言えるわけないじゃないか。 テリーとやって気持ちいいとか・・・どんなふうにするのかとか・・・ 「・・・ユナ?」 俯いていつの間にか真っ赤になっている彼女に、もう一度声をかける。 向こうはハっとして顔を上げた後、今座ったばかりだと言うのに腰を上げた。 「ま、マァ色々とな。あっ、それよりテリーもうすぐ正午だしさ、 食堂にお昼食べに行かないか?ルーラ使ってお腹すいちゃったしさ」 誤魔化すようにそう言うと、背を向けてうーんと背筋を伸ばした。 テリーはユナの心中に気付いたのかそれ以上何も言わず、彼女の後に着いていった。 ちょうど昼時だからなのか食堂は随分混雑していた。 メイドはユナたちの姿を見つけると、窓際の席を空けてくれて、食事を持ってきてくれた。 ユナの好きなハーブを使った料理だ。 周りの神官やシスターたちに習い、二人も祈りの言葉を言おうとする。 ユナの隣と正面に座っていた若い男が丁寧に手取足取り教えてくれた。 手の合わせ方やフォークの持ち方に至るまで・・・馴れ馴れしくユナに触れる。 その度に虫唾が走り、その男たちを殴り飛ばしてやりたくなるが・・・彼女は何も気付いていない。 周りの男共の好意ともとれる下心に・・・。 テリーは格好悪いと感じていた。 ユナに触れたり、いやらしい視線を向ける男共に腹を立てることに。 食事の挨拶がすみ、むっとした顔で食べ始めるテリーにスープを飲んだ後、尋ねた。 「何ムッとしてんだよ?嫌いなものでもあったのか?」 「・・・別に・・・」 フォークを止める間もなく、サラダを口に運ぶ。 不審に思いつつもやはりハーブ料理に目のないユナはサラダやメインディッシュなどに舌を巻いた。 「はぁ・・・本当にここの料理って美味しいよなぁ。やっぱり地上の料理って大好きだ・・・」 「天界の味は口に合わないのか?」 「うーん・・・そんな事ないよ。勿論美味しいんだけどさ。 地上と同じ食物が育たないんだ。だからハーブなんて物もない。それが寂しくて・・・」 食後のやっぱり大好きなハーブティーを飲みながら、ため息混じりに呟いた。 ユナが何故ハーブが好きなのか、テリーには既に分かっていた。 子供の頃の・・・幸せなガンディーノの記憶・・・。 その時、先ほどユナにお祈りの仕方をやたら詳しく教えた男たちがこっちを見ているのに気付いた。 よく見ると4人のグループで、神官見習いと第四階級の印を付けていた。 神殿に入って日も浅い、まだ物欲や世俗から抜け切れていない若者たちだ。 テリーは再び胸からムカムカと怒りが込み上げてきてしまった。 「うひょーっ!ホントにスゲェ可愛いじゃん!スタイルもサイッコー!!」 「だろだろーっ!声とか笑った顔ももっと可愛いんだぜ!」 「いやぁ・・・最近シスターのおばちゃんとかお年寄りの参拝者ばっかり相手に してきたからなぁ・・・本当にうんざりだったんだよ・・・。イミル様は美しいが お近づきになれねえし・・・いい目の保養だぜー!」 五感の発達している冒険者のテリーはしっかりと会話の内容が聞こえてきた。 隣のユナは食後のスープを飲む事に夢中になっており、全く気付いていない。 早々にこの場を立ち去ろうと思いユナを促そうとする前に いちはやく男たちがユナの周りに座った。 「ここの料理は美味しかった?」 やはり来た。 ちょうど飲み終わったユナは男の方を向いて 「うん、サイコーだったよ」 満面の笑みを返した。 「オレさ、実はここの料理見習いなんだ」 胸元の印と袖口の文字を見せる。どうやら本当のようだ。 女を口説き慣れてるのかこいつら・・・。 テリーは鋭い目で睨み付けた。 単刀直入にユナに対して好意をぶつける事をせず、遠回りからユナの警戒心を解いていく こいつらは今までの奴とは格段に違っていた。 「へぇーっ、じゃあ料理するのとか得意なんだーっ、羨ましいよなぁ」 「まだ見習いだけどね」 言葉巧みにユナの興味を惹いたり、話を弾ませている。 とテリーの威嚇するような視線に気付いたのか、4人の内の一人が 「あ、もしかしてあんた彼女の恋人か?そんな怖い顔するなよ、 オレたちはただあんたの可愛い彼女と話ししたいだけなんだからさ」 体格のいい男がユナの手に触れる。 ガタっとテリーは立ち上がった。 「触るな!!」 男の襟を乱暴に掴んだ。考えるより先に体が動く。 気の弱そうな男が「ヒッ」と低く声を漏らした。 「お、おい、テリー!?」 慌ててユナも立ち上がると先ほどまでユナと話していたスカした料理見習いの 男がバカにしたような笑いを浮かべて 「独占欲の強い兄ちゃんだな。もちっと余裕を持った男にならないと 彼女に愛想尽かされちゃうぜ」 「・・・・・・っ」 「女性は束縛されることを嫌うからな」 掴んでいた男の襟を乱暴に払いのけ、何も言わず食堂から出ていった。 テリーは振り向かなかった。必ずユナは追ってきてくれるはずだから。 案の定、ユナは心配そうにテリーの隣に並ぶ。 「・・・お前は男に対して警戒心が無さ過ぎる」 尋ねるより先に呟く。 「だって・・・そんなに悪い奴らじゃなかったじゃないか・・・」 「・・・・・・もういい」 本当に何も分かっていない。 男たちからどういう目で見られているのか分かっていないんだ。 下心のある男たちの危険な視線・・・・・・。 そんなテリーの考えに全く気付かず 「そう言えば、大聖堂で待ってろって言われたけど・・・それって何処にあるんだろう・・・」 キョロキョロと辺りを見回すと、前方から若いメイドたちが近付いてきた。 「あの、スイマセン。大聖堂って何処にあるんですか?」 他愛のないお喋りをして笑っているメイドがユナに気付く そしてその視線はユナには行かず、後ろの美青年に注がれた。 「えっ、大聖堂に行かれるんですか?」 先頭にいたウェーブのかかった金髪のキュートな少女がテリーの方に声を掛けた。 ・・・・・・。少しむっとしてしまった。 「ああ」 素っ気なく返す。 メイドは三人にて、三人とも明るそうな少女だ。 「えーっ、私たちが案内してあげますよーっ、行きましょ行きましょ」 強引にテリーの腕を掴んで三人は後ろを向いて歩き出した。 歩くたびに肩まで伸ばしたウェーブが緩やかに靡いて甘い香りを醸し出す。 少し不安になってしまった。自分の持っていない物を持っている人に 「ちょ、ちょっと待ってよ!」 テリーが立ち止まったのでメイドたちも立ち止まる。 テリーの両腕にしがみついているメイドに目をやった、向こうは何か言いたげな顔。 「あ、オレ今、大聖堂の場所思い出したよ。メイドさんたちに迷惑かけちゃ いけないから。テリー、さっさと行こうぜ!」 「あっ!ちょ、ちょっと!」 「ありがとーメイドさん。じゃっ!」 テリーの手をとってさっさと歩き出す。 後ろで何か言われているようだが聞こえないことにした。しばらく歩くとふいにユナが振り向く。 「オレ、ちょっとやな奴になっちゃったな」 そして付け加えて 「それに、テリーは女に対して警戒心が無さ過ぎる」 まさに打ってつけの文句だ。 「オレの気持ち、分かっただろ」 あっさりと返されてしまった。 「・・・・・・・・・う・・・」 返す言葉が見つからない。 「そう言えばお前・・・場所なんて知ってるのか?」 「・・・知らないよ」 小さく呟く。 「さっきのは・・・メイドさんたちを追い払う為に・・・嘘ついちゃったんだよ・・・。 あーオレってホント嫌な奴」 「だから、オレの気持ち分かっただろ?」 「う、うん・・・分かった・・・」 何度も促すテリーを見て、思わず笑ってしまう。 そんなユナを面白く無さそうに見返した。彼女の笑った意味が分からなかったらしい。 「怒るなよ、別にバカにした笑いじゃないんだ。その・・・」 「その?」 言いにくそうにして 「嬉しかったんだよ。今も・・・そしてさっきの「触るな」ってやつも・・・」 反応を伺おうとしたが慌てて顔を背けられた。 「あれは・・・あいつが・・・」 ユナはぎゅっとテリーの服を掴んだ。 『嬉しかったんだよ』 そう言って微笑むユナ。 テリーは再認識していた。彼女に対する自分の気持ちを・・・ 「・・・早く大聖堂を探すぞ」 服の裾を掴んでいる手を逆に掴む。 ユナの冷たい手の感覚が伝わってきていた。 誰にも触れられたくないんだ・・・オレの、オレのものだから・・・。 いくらユナと口付けをかわしても、抱き締めても、体を重ねても足りない。 欲望は止まるところを知らないから。 他の男に触れられてしまったら、そこからオレのユナに刻まれた想いが消されていくようで怖いんだ。 いつもあいつのあの瞳に誘われて、押し倒して求めてしまうが 次の日の朝は本当に普通のあいつだ。 男に媚びる様子もなく、出会った頃と全く変わっていない、清純そのものな元気な奴。 だからオレはいつも自分で汚したくなる。 それは愛という以前に男の欲望なのかもしれない。 ガンディーノの男たちの気持ちが少し分かった気がして、自己嫌悪になった。 「テリー、おーい。あのさっ、あっちに大聖堂って書いた看板があるよ」 はっと我に返って彼女を見る。 中庭を挟んだ向こうの渡り廊下を指さした。 目を凝らして良く見てみると、確かに、矢印を示す記号と大聖堂の文字・・・。道案内か。 「よっしゃ、行こうぜ」 今度はユナに引っ張られるカタチで連れて行かれる。 彼女の、女とは思えない、マメが潰れて硬い手の平。 痛々しいテーピングの後。そこいらの男よりよっぽど男らしい。 剣の稽古だ。強くなる為、生きるためにこいつはこんな手にならざるをえなかった。 ミレーユ姉さんやバーバラ、ビビアンやミリアの美しい手とは全く別物だ。 周りの環境、生まれた環境が違ったから・・・それだけの理由で・・・・・・。 ギィ・・・と大きな扉を開く。 大聖堂へは看板からまっすぐ行った所で案外すぐに着いた。 その中に圧倒されてしまった。 その空間は、人間千人以上は飲み込めそうなほど大きな物だった。 ずらりと並んだ長い机と椅子はしっかりと手入れが行き届いていてキラキラと光っている。 光っている理由の一つが・・・壁全体に施されているステンドグラスだった。 芸術だった。 精霊ルビス伝説の一説をステンドグラスに描いた物だと、 天界で勉強していたユナにはそれがすぐに分かった。 異世界から不死鳥ラーミアに乗ってやってきた精霊ルビスの創世記・・・。 ラーミアの羽根やルビスの流れる髪など、細かく再現されてある。 色彩豊かな光が二人を照らしていた。 「綺麗だねぇ・・・」 ユナはぼうっと一息つくと、ステンドグラスから目を離さず長いすに座った。 テリーも隣に座る。 テリーは、目の前の芸術を見ても何の感慨も湧かなかった。 確かにスゴイとは思うが、彼の心を動かす程ではない。 昔から何に対しても冷め切っていたから、感情の起伏は余りなかった。 恋愛に対しても、本当に昔は自分は人を愛するなんて難しいことは出来ないと思っていたしどうでも良かったんだ。 姉さんが好きだと思っていたから、姉さんさえ居ればどうでも良かったんだ。 再びテリーはユナのことを考え始めていた。 本当にボロボロの手だな・・・。 裁縫や料理なんて出来なくて当然なんだこいつは・・・。 普通の女がするような生活なんて出来なかったんだから。 鎧を着て、男言葉を使って自分が女であることを忘れようとしていたのか。 女であることを忘れれば、普通の女に対してのねたみや嫉妬とか 紛れるかもしれないからか? ユナの背中には・・・沢山の、数え切れない程の古傷があった。 一番大きな物は、首の付け根から背中の下にまで至る刀傷。 小さい頃に初めて受けた傷だと言っていた。ギンドロに居たときの傷だと・・・。 その周りには鞭で打たれたミミズ腫れが痕になって、いくつも背中を縦、横に這っている。 その他、小さな傷も痕や煙草等を押しつけられた痕なども、背中の至る所に残っていた。 そんな背中をユナは見ないで欲しいと言った。 初めてユナを抱いた時も、彼女はずっと背中を庇っていた。 後で理由を聞けば、オレがその傷を見て自分を嫌いになってしまうと思ったかららしい。 オレは強引にユナをベッドにうつ伏せにさせて、背中の傷に何度もキスをした。 オレはユナをまた仰向けにさせると、 「こんなもの、全然気にしない」 と言ってやった。 彼女は泣いていた。 「・・・テリー・・・?」 隣で声を掛けられるが、想いは彼の中で止めどなくあふれた。 何故今頃になってこんな事が頭に思い浮かぶのか、全く理由が分からなかった。 ただ一つ分かったのは・・・昔から他人に無関心なオレがユナに惹かれた理由だ。 今なら、何となく分かる・・・。 ユナはオレと似てるんだ。 強くなりたいと言う想いと、生への渇望、そして孤独・・・。 それでもオレと違う所はこいつには前向きな明るさがあると言うこと。 オレみたいにいじけてなくて、常に前向きで何にでも一生懸命だ。 ユナがいたから・・・強くなれた・・・。 一緒にいると安心する自分に気付いた。 いつの間にか互いに互いの背に寄りかかっている。 一人で立っているより、二人で互いの背にもたれる方が楽だって気付いたから・・・。 「テリー・・・どうしたんだよさっきから・・・何か変じゃないか?」 失いたくない。 やっと見つけたのに。安心できる場所。 テリーはユナの頬に手をやった。向こうは吃驚した顔でいる。その表情に少しだけ笑うとキスをした。 向こうは少し反応したがすぐにその心地良いキスに慣れていく。 「・・・・・・ユナ・・・」 そんな瞳、しないで欲しかった。 いつキスを止めて良いのか分からないじゃないか。 なんで、急にこんな事やるんだ? なんでそんなに悲しい瞳するんだよ。 なんでこんなに優しいキスするんだ? 「テリー・・・」 一体どうしたんだよさっきから・・・。ぼーっと考え込んでてさ・・・。 ユナが呟いたのをキッカケに、やっと唇を離した。 「ホントにどうしたんだ・・・?いつものテリーじゃないじゃないか」 「・・・・・・」 「そんなに優しくされちゃ、オレ、どうしたらいいのか分からないよ・・・」 ぶるっと身震いする。 「幸せすぎて、怖い」 ぎゅっと、テリーの服を掴んだ。 「もしまた離れちゃったら、オレ耐えられない・・・。死んじゃうかも・・・」 テリーの髪に触れて確信すると、ホっと安心した。 「安心しろ。もう一人にはしない、守ってやるから・・・」 その言い様に、また胸が熱くなる。その身を再び預けてしまった。 「あーら、まぁ、お熱いこと」 「・・・・・・・・!?」 その声に我に返り、ばっとテリーから離れた。 扉の方へ目を向けると、案の定の姿。 「せっかく早くラーの鏡を持ってきてあげようと思って急いだのに・・・ お邪魔だったかしら・・・」 「あ、あの、イミル・・・これはさ・・・」 「いいわよいいわよ別に。下手な言い訳なんかしなくてもー」 そう言って立派な手提げ袋からいつかみたあの鏡を取り出した。 あの頃より手入れがなされているのか、周りの装飾が黄金色に輝いて反射する。 「本当にありがとう・・・ワガママ聞いて貰って・・・」 「だからー全然気にしなくていいのよー。毎日同じ事の繰り返しで飽き飽きしてた所だしー 何か面白い事ないかなーって思ってた所だから、ちょうど良かったわ」 「・・・・・・」 相変わらずの神殿の巫女とは思えない発言。 「早速だけどユナ、眠ってちょうだい」 「・・・・・・え?」 「んもーっ覚えてるでしょ?意識が起きてるとその人の精神に入れないのよっ」 テリーの事件を思い出させるような言い回しで言う。 「で、でも、急に寝ろったって・・・」 「出来ないわよねーっ、だから私が夢見の実を持ってきてあげたわ。用意周到でしょー? この実を飲めばたちどころに何処でもすぐに眠れるわ。ほんの1、2時間眠って疲労を回復する 効果があるの。1、2時間もあればユナの単純な意識を回るなんて簡単でしょ」 「単純って・・・どういう意味だよ・・・」 ユナの言葉を待たずに 「さっ、早くコレ飲んでっ!」 腰に下げていた小さな皮袋から丸い物体を取り出した。 何かのタネのようだ。イミルはそれをユナの口の中に押し込む。 驚いたユナは思わず飲み込んでしまった。 「ゲホッゲホッ」 「よしっ、飲んだわね!じゃあここの長椅子に横たわりなさいっ」 強引にユナを座らせ、そのまま椅子に横たわらせる。 「これで良し・・・っと・・・テリーっ、準備オッケィよ!」 パンパンと手を払い、ラーの鏡を取り出した。 テリーも頷いてイミルの側に寄る。 ユナの表情を見ると、もう既にスヤスヤと安らかな寝息を立てていた。 「本当にこの子ったら単純ねーっ、こんなに早く夢見の実が聞いたことなんて無かったわよ。 これは本当に早くユナの精神を回れそうね」 ユナの方を向いたまま、テリーの方に手を差し出した。 テリーの手の感触を感じると、ラーの鏡にユナを映し出す。 「この少女の心の内の扉よ開け・・・・・・アバカム!」 ピカっと鏡が一瞬だけもの凄い光を放った。 思わず瞼を閉じ、再びそっと目を開けると・・・ユナから淡い光が放たれていた。 「さぁ、これでこの鏡を境にユナの精神に入れるわっ。行きましょ」 イミルが鏡に触れた瞬間、眩い光が再び辺りを照らす。 単純な意識・・・。 イミルはそう思っているが、本当にそうなのだろうか・・・。 天空城での生活、ギンドロの奴隷時代、呪われた運命の子供・・・。 それら全ての事をイミルは知らない。 こんなユナの昔を知ったらどう思うだろう。 だが恐らくユナはこの事を踏まえてイミルに心の中に入ることを頼んだのだろう。 オレの意識に入ってしまった罪悪感・・・。 こいつなりに、一生懸命考えた結果が、オレに自分の意識に触れて貰うことだったのだろう・・・。 予感を感じながら、テリーは目を伏せた。 |